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【完全ガイド】社内マニュアルをFAQ化する方法|社内マニュアル FAQ化で問い合わせを大幅削減

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「社内の同じような質問への対応に追われ、本来の業務が進まない」「時間をかけて作ったマニュアルが読まれず、ナレッジが属人化している」といった課題はありませんか?その悩みは、社内マニュアルをFAQ化することで根本から解決できます。結論から言うと、従業員が求める答えを「質問と回答」形式でまとめるFAQ化は、自己解決を強力に促進し、問い合わせ対応の工数を大幅削減する最も効果的な手法です。本記事では、社内マニュアルをFAQ化する具体的なメリットから、失敗しないための進め方を6つのステップで解説する完全ロードマップ、目的別のおすすめツール、そしてFAQ化を成功に導く3つの秘訣まで、必要な情報をすべて網羅しました。この記事を読めば、誰でも明日から社内の問い合わせ対応を効率化し、組織全体の生産性を向上させるための具体的なアクションプランを立てられるようになります。

目次

なぜ今社内マニュアルのFAQ化が必要なのか

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進やリモートワークの普及など、働き方が大きく変化する現代において、社内の情報共有や業務効率化は多くの企業にとって喫緊の課題となっています。その解決策として、既存の「社内マニュアル」を検索しやすく、分かりやすい「FAQ形式」へ転換する取り組みが注目されています。しかし、なぜ今、単なるマニュアルの電子化ではなく「FAQ化」なのでしょうか。その背景には、多くの企業が抱える深刻な問題が潜んでいます。

問い合わせ対応に追われていませんか

人事、総務、経理、情報システム部といったバックオフィス部門の担当者、あるいは各部署の業務に精通したベテラン社員が、日々同じような質問に繰り返し答えている、という光景は多くの企業で見られます。本来注力すべきコア業務の時間を削って問い合わせ対応に追われることは、組織全体の生産性を著しく低下させる要因です。質問する側も、回答を待つ時間や「こんなことを聞いていいのだろうか」という心理的な負担により、業務が滞ってしまいます。

具体的に、以下のような課題に心当たりはないでしょうか。

課題の種類具体的な状況
対応工数の増大特定の担当者に質問が集中し、その人が不在だと業務が止まってしまう。
生産性の低下担当者が問い合わせ対応に時間を取られ、本来の専門業務や企画業務に集中できない。
回答品質のばらつき回答する人によって内容が異なったり、情報が古かったりして、混乱を招くことがある。
ナレッジの属人化口頭やチャットでの個別対応に終始し、貴重な知識やノウハウが組織に蓄積されない。
従業員のストレス質問する側は回答を待つ時間が発生し、回答する側は何度も同じ説明をすることに疲弊する。

これらの課題は、一つ一つは些細に見えるかもしれません。しかし、組織全体で見れば膨大な時間とコストの損失につながっています。社内マニュアルをFAQ化することは、こうした非効率な問い合わせ対応から従業員を解放し、組織全体の生産性を向上させるための第一歩なのです。

既存のマニュアルが活用されない理由

「うちには既に詳細なマニュアルがあるから大丈夫」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そのマニュアルは本当に従業員に活用されているでしょうか。多くの企業では、時間と労力をかけて作成したマニュアルがファイルサーバーの奥深くに眠り、「宝の持ち腐れ」となっているケースが少なくありません。その原因は、マニュアルの形式そのものにあります。

従来の文書型マニュアルがなぜ活用されないのか、その主な理由を下の表にまとめました。

活用されない理由具体的な問題点
探しにくい(検索性の低さ)
  • どこに保管されているか分からず、探すだけで時間がかかる。
  • ファイル名だけでは内容が推測できず、一つずつ開いて確認する必要がある。
  • PDFやWord形式のため、ファイル内のキーワード検索ができない、または精度が低い。
  • 目次が分かりにくく、知りたい情報がどのページにあるのか見当がつかない。
分かりにくい(可読性の低さ)
  • 文章が長く、専門用語も多いため、読むのに時間がかかり、途中で挫折してしまう。
  • 作成者目線で網羅的に書かれており、利用者が「今すぐ知りたいこと」が簡潔に書かれていない。
  • 業務全体の流れを理解していないと読み解けない構成になっている。
信頼できない(情報の陳腐化)
  • 情報が古く、現在の業務フローやシステム仕様と異なっている。
  • 更新作業が煩雑なため、メンテナンスされずに放置されている。
  • 複数のバージョンが存在し、どれが最新で正しい情報なのか判断できない。

従業員は、問題を迅速に解決したいと考えています。探しにくく、分かりにくいマニュアルを読むよりも、詳しい人に直接聞いた方が早いと判断するのは自然なことです。その結果、マニュアルは使われなくなり、問い合わせ件数も減らない、という悪循環に陥ります。社内マニュアルのFAQ化は、この悪循環を断ち切り、従業員が「自分で調べて解決する」文化を醸成するための極めて有効な手段なのです。

社内マニュアルをFAQ化する5つのメリット

社内マニュアルをFAQ形式に整備することは、単に情報を整理する以上の価値を企業にもたらします。形骸化したマニュアルを「使われる」ナレッジへと昇華させ、組織全体の生産性を向上させる5つの具体的なメリットを詳しく解説します。

メリット1 問い合わせ件数の大幅な削減

最大のメリットは、社内ヘルプデスクや総務、情報システム部など、特定部署への問い合わせ件数を劇的に削減できることです。従業員が疑問を感じた際、まずFAQシステムで検索する習慣がつけば、これまで電話やメール、チャットで寄せられていた定型的な質問の多くは自己解決されます。

これにより、問い合わせ対応に費やされていた担当者の工数が大幅に削減され、より専門性が高く、創造的な業務に集中できるようになります。結果として、担当部署の業務効率が向上するだけでなく、質問者側も回答を待つ時間がなくなり、業務の停滞を防ぐことができます。組織全体の生産性向上に直結する、非常にインパクトの大きいメリットです。

メリット2 従業員の自己解決能力の向上

探しやすく、分かりやすいFAQが整備されている環境は、従業員の「まず自分で調べてみる」という主体的な行動を促します。人に聞けばすぐに解決するかもしれませんが、その習慣は受け身の姿勢を生み出しがちです。FAQを活用して自ら答えにたどり着く経験を重ねることで、従業員一人ひとりの問題解決能力、すなわち自己解決能力が向上します。

この能力は、FAQに載っていない未知の問題に直面した際にも応用できる重要なスキルです。従業員が自律的に業務を遂行できるようになることで、マネジメントコストの削減や、より挑戦的な業務へのアサインも可能になり、組織全体の成長を力強く後押しします。

メリット3 業務の属人化防止とナレッジ共有

「この業務は〇〇さんしか分からない」といった業務の属人化は、担当者の不在や退職時に業務が停滞する大きなリスクとなります。社内マニュアルのFAQ化は、個人の頭の中に蓄積された知識やノウハウ(暗黙知)を、誰もがアクセスできる形式(形式知)に変換し、組織全体の共有資産とする絶好の機会です。

FAQを作成する過程で、ベテラン社員が持つ専門的な知識や、現場で生まれた実践的なテクニックを体系的に整理できます。これにより、業務の標準化が進み、担当者が変わっても業務品質を維持しやすくなります。ナレッジがスムーズに共有される文化は、組織の持続的な成長に不可欠です。

項目属人化された状態FAQ化による改善後
知識の所在特定の個人の経験と記憶(暗黙知)組織の共有資産としてシステム上に明文化(形式知)
業務の継続性担当者の不在・異動・退職で業務が停滞・断絶するリスクが高い誰でも必要な情報にアクセスでき、業務の継続性が保たれる
業務品質担当者によって対応や成果にバラつきが生じやすい業務プロセスが標準化され、サービス品質が安定・向上する
情報伝達口頭や断片的なメモでの引き継ぎが多く、情報が劣化・欠落しやすい常に最新かつ正確な情報が維持され、効率的な情報共有が実現する

メリット4 24時間365日対応が可能になる

FAQシステムは、時間や場所の制約を受けません。担当者の勤務時間外はもちろん、休日や深夜であっても、従業員は必要な情報にいつでもアクセスできます。これは、フレックスタイム制やリモートワーク(テレワーク)、時短勤務など、多様化する働き方を支援する上で非常に有効です。

例えば、海外拠点と連携して働く社員や、育児・介護と両立しながら働く社員が、時差や時間的制約を気にすることなく、自分のタイミングで疑問を解消し、スムーズに業務を進めることができます。従業員満足度の向上にも繋がる、現代の働き方にマッチしたメリットと言えるでしょう。

メリット5 新人教育コストの削減

新入社員や中途採用者のオンボーディング期間中、教育担当者は同じような基本的な質問に何度も繰り返し答える必要があり、大きな時間的・人的コストがかかっています。これらの頻出質問をFAQとして網羅的に整備しておくことで、新入社員はまずFAQを参照して自学自習を進めることができます。

これにより、教育担当者の負担が大幅に軽減され、より実践的なOJTや個別のフォローアップに時間を割けるようになります。また、質問することに心理的なハードルを感じる新入社員にとっても、自分のペースで気兼ねなく知識を習得できる環境は、早期の戦力化と定着率の向上に大きく貢献します。

社内マニュアルFAQ化の進め方 完全ロードマップ

社内マニュアルのFAQ化は、思いつきで進めると失敗に終わる可能性があります。成功のためには、計画的にステップを踏んでいくことが不可欠です。ここでは、プロジェクトを成功に導くための具体的な6つのステップを「完全ロードマップ」としてご紹介します。この手順に沿って進めることで、効果的な社内FAQを構築し、定着させることができるでしょう。

ステップ1 目的の明確化と現状分析

FAQ化プロジェクトの最初のステップは、土台作りです。なぜFAQ化するのか、現状どのような課題があるのかを明確にすることで、プロジェクトの方向性が定まり、関係者の協力も得やすくなります。ここでの分析が、後のステップすべての質を左右する重要な工程です。

既存マニュアルと過去の問い合わせを洗い出す

まずは、FAQの元となる情報を徹底的に集めましょう。社内に散在しているナレッジや、従業員の「困った」という生の声が、価値あるFAQコンテンツの源泉となります。

具体的には、以下の情報をリストアップします。

  • 既存の業務マニュアル、手順書、規定集
  • 社内Wikiやファイルサーバーに保管されている資料
  • ヘルプデスクや各部署の担当者に寄せられた過去の問い合わせメール、チャット履歴
  • 口頭でよく聞かれる質問とその回答メモ
  • 新人研修で頻出する質問リスト

これらの情報をスプレッドシートなどに一覧化し、「誰が」「いつ」「どのような内容で」問い合わせてきたかを整理します。この作業を通じて、特に質問が集中している業務や、既存マニュアルの分かりにくい点が浮き彫りになります。

FAQ化する範囲と目標を設定する

洗い出した情報をもとに、プロジェクトの範囲(スコープ)と具体的な目標(KPI)を設定します。すべてのマニュアルを一度にFAQ化しようとすると、膨大な工数がかかり頓挫しかねません。まずは特定の範囲に絞ってスモールスタートを切ることが成功の鍵です。

範囲の設定例:

  • 問い合わせが最も多い「経理関連(経費精算、請求書発行など)」から始める
  • 全社共通で影響範囲の広い「情報システム関連(PC設定、ソフトウェア利用方法など)」を優先する
  • 新入社員や中途入社者が早期に自立できるよう「人事・総務関連(各種申請、福利厚生など)」に絞る

範囲を決めたら、測定可能な目標を設定します。これにより、プロジェクトの成果を客観的に評価し、次の改善アクションにつなげることができます。

指標目標設定の具体例
問い合わせ件数対象範囲の問い合わせ件数を3ヶ月で50%削減する
自己解決率従業員アンケートで「FAQを見て自己解決できた」と回答する割合を80%以上にする
教育コスト新人研修における質疑応答時間を30%短縮する

これらの目標は、プロジェクト関係者全員で合意形成しておくことが重要です。明確なゴールがあることで、チームのモチベーション維持にもつながります。

ステップ2 FAQコンテンツの作成

現状分析で集めた情報をもとに、FAQの核となるQ&Aコンテンツを作成していきます。ここで重要なのは「従業員目線」です。作り手の自己満足で終わらない、本当に役立つコンテンツ作りを心がけましょう。

質問文は従業員の言葉で作成する

質問文は、従業員が実際に使う言葉や、検索窓に打ち込むであろうキーワードを想定して作成します。マニュアルの目次のような堅苦しい表現では、検索してもヒットしにくくなってしまいます。

質問文の作成例:

  • NG例:「出張旅費精算規程」
  • OK例:「出張の交通費はどこまで経費になりますか?」「新幹線のチケット代を立て替えたのですが、どうやって精算すればいいですか?」「急な出張で領収書をもらい忘れた場合はどうすればいいですか?」

過去の問い合わせメールの件名や本文を参考にすると、より実態に即した質問文を作成できます。専門用語だけでなく、社内で使われている通称や略語も盛り込むと、さらに検索性が高まります。

回答文は誰が読んでもわかるように書く

回答文は、その業務に詳しくない人でも理解できるよう、専門用語を避け、平易な言葉で記述することが鉄則です。以下のポイントを意識すると、分かりやすい回答文を作成できます。

  • 結論から書く(PREP法):まず結論(答え)を提示し、次にその理由、具体例、最後に要点を繰り返す構成で書くと、読み手は短時間で要点を把握できます。
  • 箇条書きや番号付きリストを活用する:手順や注意点を説明する際は、文章で長く書くのではなく、リスト形式で整理すると視覚的に分かりやすくなります。
  • 図やスクリーンショットを挿入する:システムの操作方法など、文字だけでは伝わりにくい内容は、実際の画面キャプチャや図解を積極的に活用しましょう。
  • 一文を短くする:長い文章は読みにくく、誤解を生む原因になります。主語と述語を明確にし、簡潔な文章を心がけます。

完成した回答文は、必ずその業務を知らない第三者に読んでもらい、分かりにくい点がないかフィードバックをもらうと、コンテンツの質がさらに向上します。

ステップ3 FAQの整理と構造化

作成したFAQコンテンツは、ただ蓄積するだけでは宝の持ち腐れです。従業員が必要な情報に素早くたどり着けるよう、適切に整理し、構造化する必要があります。この「見つけやすさ」がFAQの利用率を大きく左右します。

カテゴリ分けで探しやすくする

FAQを論理的なカテゴリに分類することで、ユーザーは検索キーワードが思いつかなくても、目的の情報にたどり着きやすくなります。ユーザーの思考プロセスを想像しながら、直感的に分かりやすいカテゴリ構造を設計しましょう。

カテゴリ分けの例:

  • 部署・業務別:「人事・労務」「経理」「総務」「情報システム」
  • シーン別:「入社手続き」「異動・転勤」「出張」「退職手続き」
  • 対象者別:「新入社員向け」「管理職向け」

カテゴリの階層は、あまり深くしすぎないのがポイントです。多くても3階層程度に留め、クリック数を少なくすることで、ユーザーのストレスを軽減できます。会社の組織構造や業務内容に合わせて、最適な分類方法を検討してください。

検索キーワードを意識したタグ付け

カテゴリ分類を補完するのが「タグ」の活用です。一つのFAQに対して複数のタグを関連付けることで、カテゴリを横断した検索が可能になり、情報の発見性が飛躍的に向上します。

タグ付けのポイント:

  • 関連キーワード:質問文や回答文に含まれる重要な単語をタグにします。(例:「経費精算」のFAQに「領収書」「交通費」「出張」など)
  • 表記ゆれ・同義語:ユーザーが使いそうな別の言葉もタグとして登録します。(例:「PC」のFAQに「パソコン」「ノートPC」「コンピュータ」など)
  • 潜在的なニーズ:そのFAQを探している人が他にどんなことに関心があるかを想像し、関連するタグを付けます。(例:「Wi-Fiの接続方法」のFAQに「パスワード」「ネットワーク」「無線LAN」など)

適切なタグ付けは、FAQシステムの検索エンジン最適化(SEO)にもつながり、従業員の自己解決を強力にサポートします。

ステップ4 FAQシステムの選定と導入

作成・整理したFAQを格納し、従業員がいつでもどこでもアクセスできるプラットフォームとして、FAQシステムを導入します。Excelや共有フォルダでの管理は、検索性や更新性、権限管理の面で限界があるため、専用のツールの利用が推奨されます。

システム選定の際は、以下の点を比較検討しましょう。

  • 検索機能:キーワード検索はもちろん、サジェスト機能、表記ゆれ吸収、絞り込み検索など、高度な検索ができるか。
  • 作成・編集のしやすさ:専門知識がなくても、担当者が直感的にFAQを追加・更新できるか。画像や動画の挿入は簡単か。
  • 分析機能:どのFAQがよく閲覧されているか、どんなキーワードで検索されているか、解決に繋がったかなどのデータを分析できるか。
  • セキュリティ:IPアドレス制限や部署ごとの閲覧権限設定など、企業のセキュリティポリシーに準拠した運用が可能か。
  • 連携機能:SlackやMicrosoft Teamsなどのビジネスチャットツールと連携し、通知や検索ができるか。
  • コスト:初期費用や月額料金、ユーザー数に応じた料金体系が予算に見合っているか。

無料トライアルなどを活用し、実際の操作感を試した上で、自社の規模や目的に最も合ったシステムを選定することが重要です。

ステップ5 社内への周知と利用促進

優れたFAQシステムを導入しても、従業員にその存在を知られ、使ってもらえなければ意味がありません。FAQサイトの公開後は、積極的な周知活動と、利用を促すための仕掛けが必要です。

効果的な周知方法:

  • 全社メールや社内ポータル、朝礼などでFAQサイトのオープンを大々的に告知する。
  • FAQサイトの目的(問い合わせ削減、業務効率化など)と、従業員にとってのメリットを丁寧に説明する。
  • 使い方を解説する簡単なマニュアルを作成したり、説明会を実施したりする。
  • 新入社員研修のプログラムに、FAQサイトの活用方法を組み込む。

利用を促進する上で最も効果的なのは、問い合わせ対応のプロセスにFAQを組み込むことです。従業員から質問を受けた際、担当者がその場で直接答えるのではなく、「その質問はFAQに回答がありますので、こちらのページをご確認ください」と、FAQサイトへ誘導するのです。これを徹底することで、「まずはFAQで調べる」という文化が社内に根付いていきます。

ステップ6 定期的な更新と効果測定

社内FAQは「作って終わり」の静的なものではなく、常に変化する会社の状況に合わせて成長させていく「生きたナレッジベース」です。公開後の運用こそが、FAQ化プロジェクトの成否を分けます。

定期的な更新(メンテナンス):

  • 情報の陳腐化防止:社内ルールや業務フローの変更、システムのアップデートがあった際は、速やかに関連FAQを修正します。
  • 新規FAQの追加:新たに寄せられるようになった質問や、検索されているのに回答がない「0件ヒットキーワード」を元に、新しいFAQを追加します。
  • 内容の改善:「役に立たなかった」というフィードバックがあったFAQや、閲覧数は多いのに解決率が低いFAQは、内容を見直して分かりやすく改善します。

これらのメンテナンスを継続的に行うため、担当者を明確にし、月に一度のレビュー会を設けるなど、運用体制を構築することが不可欠です。

効果測定(PDCA):

ステップ1で設定したKPIに基づき、定期的に効果を測定し、改善につなげます。FAQシステムの分析機能を活用し、以下のようなデータを確認しましょう。

  • FAQサイト全体のPV数、UU(ユニークユーザー)数
  • 閲覧数ランキング、検索キーワードランキング
  • 「役に立った/役に立たなかった」の評価データ
  • FAQ導入前後での問い合わせ件数の推移

これらのデータを分析し、「なぜこのFAQがよく見られているのか」「なぜこのキーワードでの検索が多いのか」を考察することで、次に行うべき改善策が見えてきます。このPDCAサイクルを回し続けることで、社内FAQはより価値の高いナレッジベースへと進化していくのです。

社内マニュアルのFAQ化におすすめのツール3選

社内マニュアルのFAQ化を成功させるには、自社の目的や規模に合ったツールを選ぶことが不可欠です。高機能なツールを導入しても、使いこなせなければ意味がありません。ここでは、代表的な3つのカテゴリに分け、それぞれの特徴とおすすめのツールをご紹介します。自社の状況と照らし合わせながら、最適なツールを見つけましょう。

多機能なFAQ専用システム

FAQ専用システムは、その名の通り、FAQの作成・公開・運用に特化した高機能なツールです。最大の強みは、利用者が求める回答をすぐに見つけ出せる強力な「検索機能」と、利用状況を分析して改善につなげる「分析機能」です。問い合わせ対応の工数を抜本的に削減し、ナレッジ活用の文化を醸成したい企業に最適です。

こんな企業におすすめ

  • 従業員数が多く、問い合わせ件数が膨大な企業
  • 情報システム部や総務部など、専門のヘルプデスク部門がある企業
  • データに基づいて継続的にFAQを改善し、自己解決率を最大化したい企業
ツール名主な特徴価格帯
Helpfeel(ヘルプフィール)「意図予測検索」や「あいまい検索」技術により、圧倒的な検索ヒット率(98%)を誇る。利用者のどんな言葉の揺らぎにも対応し、探す手間を極限まで削減。専任のチームによる手厚い導入・運用支援も魅力。高価格帯(要問い合わせ)
Zendesk(ゼンデスク)世界的なカスタマーサービスプラットフォーム。FAQ機能(Guide)と問い合わせ管理システムが一体化しており、FAQで解決しない問い合わせをシームレスにエスカレーション可能。ナレッジの一元管理に強い。中〜高価格帯
PKSHA FAQ(パークシャ エフエーキュー)国内トップクラスのシェアを持つFAQシステム。AI技術を活用し、関連性の高いFAQをサジェストする機能や、対話形式で回答に導くAIヘルプデスク機能が充実。直感的な操作性で、誰でも簡単にFAQを作成・更新できる。中〜高価格帯(要問い合わせ)

手軽に始められる社内Wikiツール

社内Wikiツールは、FAQだけでなく、議事録、業務手順書、日報、企画書など、社内のあらゆる情報をストックできる汎用性の高いナレッジ共有ツールです。複数人で同時に編集できるため、属人化しがちな情報を組織の資産として蓄積していく文化を醸成するのに役立ちます。比較的低コストで始められるものが多く、まずはスモールスタートしたい企業におすすめです。

こんな企業におすすめ

  • FAQ以外のナレッジ(議事録や手順書など)も一元管理したい企業
  • コストを抑えてFAQ化を始めたいスタートアップや中小企業
  • 従業員が主体的に情報を更新・蓄積していく文化を作りたい企業
ツール名主な特徴価格帯
NotePM(ノートピーエム)「社内版Wikipedia」をコンセプトにした、シンプルで使いやすいツール。強力な検索機能に加え、テンプレート機能や既読状況の確認機能など、社内での情報共有を円滑にする機能が豊富。多くの企業で導入実績がある。低〜中価格帯
Confluence(コンフルエンス)プロジェクト管理ツール「Jira」などを提供するAtlassian社の製品。特にIT・開発部門での利用実績が豊富で、他製品との連携が強力。柔軟な権限設定や豊富なテンプレートで、大規模な組織のナレッジ管理にも対応。低〜中価格帯
Notion(ノーション)ドキュメント作成、タスク管理、データベースなど、様々な機能をブロックのように組み合わせて自由にページを作成できる。カスタマイズ性が非常に高く、自社に最適化されたオリジナルのFAQデータベースを構築可能。低価格帯(無料プランあり)

自動応答が可能なAIチャットボット

AIチャットボットは、従業員からの質問に対して、AIが対話形式で自動回答するツールです。SlackやMicrosoft Teamsといったビジネスチャットツールと連携させることで、従業員は普段使っているツールから離れることなく、気軽に質問して即座に回答を得られます。定型的な質問の一次対応を完全に自動化したい場合に非常に効果的です。

こんな企業におすすめ

  • 総務・人事・経理など、同じような質問が繰り返し寄せられる部門の負担を軽減したい企業
  • SlackやMicrosoft Teamsを業務の中心で活用している企業
  • 24時間365日、即時回答できる体制を構築したい企業
ツール名主な特徴価格帯
OfficeBot(オフィスボット)バックオフィス業務に特化したAIチャットボット。人事、総務、経理、情報システムに関する豊富な学習済みAIを搭載しており、導入後すぐに高い正答率を実現。Q&Aの登録も簡単で、専門知識がなくても運用できる。中価格帯(要問い合わせ)
AI-FAQボット(エーアイ エフエーキューボット)月額3万円からという低価格で導入できるのが魅力。ExcelファイルにQ&Aをまとめてアップロードするだけで、簡単にチャットボットを構築できる。まずは低コストでチャットボットの効果を試してみたい企業に最適。低〜中価格帯
ChatPlus(チャットプラス)Webサイト向けのチャットツールとして有名だが、社内利用にも対応。AIによる自動応答と、対応できない場合の有人チャットへの切り替えがスムーズ。細やかなシナリオ設定が可能で、複雑な問い合わせフローにも対応できる。低〜中価格帯

FAQ化を成功させるための3つのポイント

社内マニュアルのFAQ化は、ただコンテンツを作成してツールを導入するだけでは成功しません。従業員に「使われる」仕組みとして定着させ、問い合わせ削減という本来の目的を達成するためには、戦略的なアプローチが不可欠です。ここでは、FAQ化プロジェクトを成功に導くための特に重要な3つのポイントを、具体的なアクションとともに解説します。

ポイント1 作って終わりにしない運用体制を築く

FAQシステムは一度作ったら完成というわけではありません。むしろ、公開してからが本当のスタートです。情報が古くなったり、実態と合わなくなったりすると、従業員はすぐに使わなくなり、結果として問い合わせ件数が元に戻ってしまいます。FAQを「生きているナレッジベース」として維持し続けるための、継続的な運用体制の構築が成功の鍵を握ります。

継続的な改善を促すPDCAサイクル

FAQの品質を維持・向上させるためには、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを回す仕組みが欠かせません。定期的に利用状況を分析し、改善を繰り返すことで、従業員にとって本当に価値のあるFAQシステムへと成長させることができます。

  • Plan(計画):FAQの利用率や解決率などのKPI(重要業績評価指標)を設定します。また、更新担当者や更新頻度などの運用ルールを定めます。
  • Do(実行):計画に沿ってFAQの作成・更新・周知活動を行います。
  • Check(評価):設定したKPIを基に効果測定を行います。よく閲覧されているFAQは何か、逆に全く見られていないFAQは何か、検索されているのに回答が見つからない「0件ヒット」キーワードは何かなどを分析します。
  • Act(改善):評価結果を基に、コンテンツの追加・修正・削除や、カテゴリの見直し、周知方法の変更など、改善策を実行します。

役割分担を明確にした運用チーム

誰が何に責任を持つのかを明確にすることで、運用が形骸化するのを防ぎます。専任の担当者を置くのが理想ですが、難しい場合は複数部署の担当者が兼任でチームを組む形でも問題ありません。重要なのは、役割と責任の所在をはっきりさせることです。

役割主な業務内容担当部署・担当者の例
FAQ管理者(オーナー)FAQシステム全体の統括責任者。運用方針の決定、KPI管理、効果測定、改善計画の立案などを行います。情報システム部、人事総務部、経営企画室のマネージャーなど
コンテンツ作成・更新者各業務領域の専門家として、新規FAQの作成や既存FAQの修正・更新を担当します。現場からのフィードバックを反映する重要な役割です。各事業部門の現場担当者、業務の専門家
システム運用担当者FAQシステムの技術的な管理を担当します。システムのメンテナンス、アカウント管理、トラブルシューティングなどを行います。情報システム部の担当者

ポイント2 検索性を徹底的に高める

従業員が「知りたい」と思ったときに、すぐに答えにたどり着けるかどうか。FAQシステムの価値は、この「検索性」の高さに大きく左右されます。どれだけ質の高い回答を用意しても、見つけてもらえなければ意味がありません。従業員がストレスなく自己解決できる環境を整えるため、あらゆる角度から検索性を高める工夫をしましょう。

従業員目線のキーワードとカテゴリ設計

FAQを作成する管理側の視点ではなく、実際に利用する従業員の視点で設計することが極めて重要です。従業員がどのような言葉で検索するかを想像し、先回りして設定しておく必要があります。

  • 口語・略語・通称への対応:正式名称だけでなく、「経費精算」を「経費」、「Web会議システム」を「ウェブ会議」や特定のツール名(例:「Teams」「Zoom」)など、従業員が普段使っている言葉をキーワードやタグに設定します。
  • 予測変換(サジェスト)機能の活用:検索窓にキーワードを入力した際に、関連キーワードの候補を表示するサジェスト機能は、検索の手間を省き、目的の情報への到達を早めます。多くのFAQツールに搭載されています。
  • 直感的なカテゴリ分け:カテゴリの階層は深くしすぎず、2〜3階層程度に抑えるのが理想です。「部署別」「業務内容別」「入社時期別」など、従業員が自分に関係する情報を見つけやすい分類を心がけましょう。

「0件ヒット」をなくす継続的な分析

従業員が検索したにもかかわらず、該当するFAQが1件も表示されない「0件ヒット」は、利用満足度を著しく低下させる原因となります。検索ログを定期的に分析し、0件ヒットとなったキーワードを洗い出しましょう。そのキーワードがなぜ検索されたのかを分析し、対応するFAQを新規作成したり、既存のFAQにキーワードを追加したりする改善活動を継続的に行うことが、検索性の向上につながります。

ポイント3 スモールスタートで始める

社内マニュアルのFAQ化は、全社を巻き込む一大プロジェクトになりがちです。しかし、最初から完璧を目指して大規模に始めようとすると、準備に時間がかかりすぎる、関係部署との調整が難航する、失敗したときの影響が大きいといったリスクが伴います。成功確率を高めるためには、まずは特定の範囲に絞って「スモールスタート」で始めることを強く推奨します。

対象範囲を限定して効果を実証する

まずは、成果が出やすく、効果測定もしやすい範囲に限定してFAQ化を試してみましょう。これをPoC(Proof of Concept:概念実証)と呼びます。PoCを通じて、FAQ化の有効性を証明し、本格導入に向けた課題を洗い出すことができます。

  • 問い合わせが多い部署から始める:情報システム部へのPC関連の質問、人事総務部への各種手続きに関する質問など、日頃から定型的な問い合わせが多い部署を最初のターゲットに設定します。問い合わせが削減されたという具体的な成果が出れば、他部署への展開もスムーズに進みます。
  • 特定の業務マニュアルに絞る:全社のマニュアルを対象にするのではなく、まずは「経費精算マニュアル」「勤怠管理マニュアル」など、特定の業務に絞ってFAQ化を進めるのも有効な方法です。

小さな成功体験を積み重ねて全社に展開

スモールスタートで「問い合わせが2割削減できた」「新入社員が早期に自走できるようになった」といった成功事例を作ることができれば、それが強力な説得材料となり、経営層や他部署の協力を得やすくなります。PoCで得られた知見や運用ノウハウを活かしながら、段階的に対象範囲を拡大していくアプローチが、最終的に全社的な定着を成功させるための着実な道のりです。

まとめ

本記事では、社内マニュアルをFAQ化する方法について、その必要性から具体的な進め方、成功のポイントまでを網羅的に解説しました。日々多くの時間を奪う問い合わせ対応や、形骸化したマニュアルといった課題は、FAQ化によって解決できます。その結論として、問い合わせ件数の大幅な削減、従業員の自己解決能力の向上、業務の属人化防止といった多くのメリットが期待できます。

FAQ化を成功させるためには、本記事で紹介した6つのステップからなるロードマップに沿って計画的に進めることが重要です。特に、従業員の目線でコンテンツを作成すること、検索性を徹底的に高めること、そして作って終わりにしない運用体制を築くという3つのポイントは不可欠です。まずは特定の部署や業務範囲に絞ってスモールスタートで始めることをお勧めします。

社内マニュアルのFAQ化は、単なる問い合わせ削減ツールではありません。ナレッジを組織の資産として共有し、誰もが自律的に働ける環境を整えるための重要な施策です。この記事を参考に、貴社の生産性向上と業務効率化を実現してください。

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この記事を書いた人

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