「同じような問い合わせに毎日対応している」「担当者によって回答の質がバラバラで困っている」など、顧客対応の工数増大や属人化に悩んでいませんか?この記事を読めば、顧客からの問い合わせデータを活用して回答集を自動生成し、効果的なFAQサイトを構築する具体的な方法がわかります。結論として、現代のカスタマーサポートにおいて最も効果的なのは、AIを活用して回答集を自動生成し、FAQとして整備するアプローチです。これにより、問い合わせ対応の工数を大幅に削減し、24時間365日顧客が自己解決できる環境を整えることで、顧客満足度を飛躍的に向上させることが可能になります。本記事では、Excelを使った簡易的な方法から、ChatGPTに代表される生成AIを活用した最先端の手法、導入の具体的な5ステップ、さらにはおすすめのAI搭載FAQシステムまで、専門家が徹底的に解説します。この記事を最後まで読めば、自社の状況に最適なFAQ化の進め方が明確になり、明日からでも業務効率化と顧客体験の向上に着手できるでしょう。
なぜ今顧客問い合わせの回答集の自動生成とFAQ化が必要なのか

ビジネスの成長とともに、顧客からの問い合わせは増加の一途をたどります。しかし、多くの企業では、限られたリソースで増え続ける問い合わせに対応することに限界を感じています。従来の電話やメールによる手厚いサポートは重要である一方、その工数とコストは経営を圧迫する要因となりかねません。このような課題を解決し、顧客満足度を新たな次元へと引き上げる鍵となるのが、「回答集の自動生成」と「FAQ化」です。
テクノロジーが進化し、顧客の行動様式も変化する現代において、カスタマーサポートのあり方は大きな転換期を迎えています。ここでは、なぜ今、問い合わせ対応の自動化とFAQの整備が企業にとって不可欠なのか、3つの重要な視点からその理由を詳しく解説します。
増え続ける問い合わせ対応の工数とコスト
企業の規模拡大や商品・サービスの多様化に伴い、カスタマーサポート部門に寄せられる問い合わせの件数と種類は増加し続けます。特に、同じような内容の質問に繰り返し対応することは、オペレーターの貴重な時間を奪い、人件費の増大に直結する非効率な状態です。
例えば、操作方法、料金プラン、仕様確認といった定型的な質問が、問い合わせ全体の半数以上を占めるケースも少なくありません。これらの対応に追われることで、本来時間を割くべき個別性の高い複雑な問題への対応が遅れ、結果として顧客満足度の低下を招く悪循環に陥ってしまいます。
回答集の自動生成とFAQ化は、この課題に対する直接的な解決策です。手動での対応とFAQ化による自動対応を比較すると、その差は歴然です。
| 比較項目 | 従来の手動対応 | FAQ化による自動対応 |
|---|---|---|
| 対応時間 | オペレーターの営業時間内のみ | 24時間365日いつでも可能 |
| 対応速度 | 待ち時間が発生する場合がある | 顧客が即座に自己解決できる |
| 1件あたりのコスト | 人件費、通信費などが発生 | ほぼゼロに近い |
| 対応件数の上限 | オペレーターの人数に依存する | 同時に多数のアクセスに対応可能 |
このように、FAQを整備することで、定型的な問い合わせを顧客自身が解決できる仕組みを構築できます。これにより、サポート部門はコストを大幅に削減できるだけでなく、より付加価値の高い業務にリソースを集中させることが可能になるのです。
顧客満足度向上と属人化防止の両立
カスタマーサポートの品質は、顧客満足度、ひいては企業ブランドのイメージを大きく左右します。しかし、サポートを人のスキルに依存していると、「属人化」という大きな問題に直面します。
属人化とは、特定の担当者しか回答できない質問があったり、担当者によって回答の質やスピードにばらつきが生じたりする状態を指します。ベテラン担当者が不在の際に回答が滞る、新人担当者が誤った案内をしてしまうといった事態は、顧客に「待たされる」「たらい回しにされる」「言っていることが違う」といった不信感を与え、顧客満足度を著しく損ないます。さらに、担当者の退職によって貴重なノウハウが失われるリスクも常に抱えることになります。
問い合わせの回答集を整備しFAQとして公開することは、この属人化を解消し、対応品質を標準化するための最も効果的な手段です。過去の優れた回答や専門的な知識を「形式知」としてFAQに蓄積することで、誰もが一定レベル以上の質の高い情報にアクセスできるようになります。これにより、オペレーターはFAQを参照しながら均一な品質のサポートを提供でき、顧客は24時間いつでも好きな時に、自分のペースで問題を解決できるという高い利便性を享受できます。結果として、オペレーターの負担軽減と顧客満足度の向上を同時に実現できるのです。
DX推進におけるカスタマーサポートの重要性
現在、多くの企業が取り組んでいるDX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なる業務のデジタル化ではありません。デジタル技術を活用してビジネスモデルそのものを変革し、新たな価値を創出する取り組みです。そして、このDX推進において、カスタマーサポート部門は極めて重要な役割を担います。
従来、コストセンターと見なされがちだったカスタマーサポートですが、DXの文脈では、顧客と企業をつなぐ最も重要な接点(タッチポイント)となります。FAQサイトやチャットボットに蓄積される「顧客の生の声」は、商品開発やサービス改善、マーケティング戦略に活かすことのできる貴重なデータ資産です。
AI技術の進化により、膨大な問い合わせログからFAQを自動生成することも可能になりました。このようなテクノロジーを積極的に活用し、カスタマーサポートを改革することは、もはや単なる効率化ではなく、競争の激しい市場で勝ち抜くための重要な経営戦略と言えるでしょう。
顧客問い合わせの回答集を自動生成する3つの主要な方法
顧客からの問い合わせに対する回答集を効率的に作成し、FAQとして整備することは、カスタマーサポートの品質向上と業務効率化に不可欠です。ここでは、その回答集を自動生成するための主要な3つの方法を、それぞれのメリット・デメリットと合わせて具体的に解説します。自社の規模や予算、目指すゴールに応じて最適な方法を選びましょう。
| 方法 | コスト | 自動化レベル | 導入の容易さ | 向いている企業 |
|---|---|---|---|---|
| 1. Excel/スプレッドシート | 低い | 低い(集計・分析が中心) | 非常に容易 | 小規模事業者、スタートアップ、まずはお試しで始めたい企業 |
| 2. FAQ作成/ヘルプデスクツール | 中程度 | 中程度(FAQ化のプロセスを効率化) | 比較的容易 | 問い合わせ件数が増加してきた中規模以上の企業 |
| 3. AIによる自動生成 | 中〜高い | 高い(回答文案の生成まで自動化) | ツールによる | 大量の問い合わせがあり、抜本的な工数削減を目指す企業 |
方法1 Excelやスプレッドシートと関数で簡易的に作成する
最も手軽に始められるのが、普段の業務で使い慣れているExcelやGoogleスプレッドシートを活用する方法です。特別なツールを導入する必要がなく、追加コストをかけずに回答集作成の第一歩を踏み出せます。
具体的な手順としては、まずメールやチャットツールに残っている過去の問い合わせログをシートに集約します。次に、COUNTIF関数やピボットテーブル機能を使って、特定のキーワードやフレーズが何回出現したかをカウントします。これにより、顧客がどのような点に疑問を持ちやすいのか、頻出する質問の傾向をデータに基づいて把握できます。
さらに、似たような表現の質問をVLOOKUP関数やXLOOKUP関数で名寄せし、カテゴリごとに分類します。例えば、「料金について」「使い方について」「トラブルシューティング」といったカテゴリを作成し、それぞれの代表的な質問(Q)と標準化された回答(A)のペアを作成していくことで、簡易的な回答集が完成します。
この方法の最大のメリットは、コストをかけずに即座に始められる点です。しかし、問い合わせデータが増えるほど手作業での集計・分析に限界が生じ、更新の手間もかかります。あくまで回答の「集計」や「分類」を補助するものであり、回答文そのものを「生成」するわけではないため、本格的な効率化には次のステップを検討する必要があります。
方法2 FAQ作成ツールやヘルプデスクツールを活用する
問い合わせ件数が増加し、Excelでの管理に限界を感じ始めたら、FAQ作成ツールやヘルプデスクツールの導入が有効な選択肢となります。これらのツールは、問い合わせ管理とFAQサイトの構築・運用を効率化するために設計されています。
多くのヘルプデスクツールには、メール、電話、チャットなど複数のチャネルからの問い合わせを一元管理する機能が備わっています。管理画面上で「未対応」「対応中」「完了」といったステータスを管理できるため、対応漏れや二重対応を防ぎます。さらに、蓄積された問い合わせデータを分析し、「どの質問が多いか」「どの記事がよく読まれているか」といったレポートを自動で作成する機能もあります。この分析結果を基に、優先的にFAQ化すべき質問を特定できるため、データドリブンなFAQ改善が可能になります。
また、FAQ作成に特化したツールでは、専門知識がなくても直感的な操作でデザイン性の高いFAQサイトを構築できます。検索窓のサジェスト機能や、表記のゆらぎ(例:「ログイン」「log in」)を吸収して適切な回答を提示する検索機能が充実しており、顧客の自己解決率を大幅に向上させることが期待できます。
この方法は、AIのように回答文を直接生成するわけではありませんが、FAQ化に至るまでのプロセス(問い合わせの収集・分析・記事化・公開)を大幅に効率化し、属人化を防ぐ上で非常に効果的です。
方法3 AI(人工知能)で問い合わせ内容から自動生成する
抜本的な工数削減と高品質なFAQサイトの構築を目指すなら、AI(人工知能)の活用が最も強力な方法です。AIを利用することで、これまで人の手で行っていた「問い合わせ内容の読解」「要約」「回答文の作成」といったプロセスを自動化できます。AIを活用する方法は、主に2つのアプローチに分けられます。
生成AI(ChatGPTなど)の活用
近年急速に発展しているChatGPTに代表される生成AI(大規模言語モデル, LLM)を活用する方法です。APIなどを利用して、自社の業務プロセスに組み込むことができます。
具体的な活用法としては、過去の問い合わせログとそれに対する模範回答のデータを生成AIに学習させます。その上で、「これらの問い合わせ履歴を分析し、頻出する質問と回答のセットを10個作成してください」といったプロンプト(指示文)を与えることで、AIが自動でQ&Aの草案を生成します。生成された文章は自然で多様な表現を含むため、ゼロから回答文を考える手間を大幅に削減できます。
ただし、注意点もあります。生成AIは時として事実に基づかない情報(ハルシネーション)を生成することがあるため、出力された回答案は必ず人の目でファクトチェックと修正を行う必要があります。また、顧客の個人情報や企業の機密情報を入力する際は、セキュリティポリシーを遵守し、情報漏洩のリスクに細心の注意を払わなければなりません。
AI搭載FAQシステムの活用
もう一つのアプローチは、FAQの作成や運用に特化したAIを搭載した専用のFAQシステムを導入することです。これらのシステムは、カスタマーサポートの課題解決を目的として開発されており、より手軽かつ安全に高度な自動生成機能を利用できます。
多くのAI搭載FAQシステムでは、過去の問い合わせログ(テキストファイルやCSV形式)をアップロードするだけで、AIが自動的に内容を解析。類似する問い合わせをグルーピングし、FAQの候補となるQ&A案を自動で生成します。このAIは汎用の生成AIとは異なり、問い合わせデータの解析に特化してチューニングされているため、高い精度で質問の意図を汲み取り、適切なQ&Aを生成することが期待できます。
また、企業のセキュリティ要件を満たした環境で利用できる点も大きなメリットです。導入後は、ユーザーの検索キーワードや行動データをAIが継続的に学習し、FAQの検索精度を自動で改善していく機能を持つツールも多く、運用負荷を軽減しながら顧客満足度を高めていくことが可能です。導入コストは他の方法に比べて高くなる傾向がありますが、得られる工数削減効果や顧客満足度の向上といったリターンは非常に大きいと言えるでしょう。
AIで回答集を自動生成しFAQ化する具体的な5ステップ
AIを活用して顧客問い合わせの回答集を自動生成し、効果的なFAQサイトを構築するプロセスは、決して複雑ではありません。ここでは、誰でも実践できるよう、具体的な5つのステップに分けて詳しく解説します。この手順に沿って進めることで、精度の高いFAQを効率的に作成し、カスタマーサポートのDXを成功に導くことができます。
ステップ1 過去の問い合わせデータ(ログ)を収集・整理する
AIによるFAQ自動生成の成功は、学習させる「データの質」に大きく左右されます。AIにとって、過去の問い合わせデータは教科書そのものです。まずは、社内に散在している顧客とのやり取りの記録を収集し、AIが学習しやすいように整理する作業から始めましょう。
主なデータ収集源
- メールでの問い合わせ履歴
- チャットサポートの応対ログ
- 電話応対の記録(テキスト化されたもの)
- ヘルプデスクツールやCRMに蓄積されたチケット
- 問い合わせフォームからの送信内容
データを収集したら、次のような「データクレンジング(整形)」を行います。この工程を丁寧に行うことで、AIが生成するFAQの精度が格段に向上します。
- 個人情報のマスキング: 氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報は、AIに学習させる前に必ず削除または匿名化します。プライバシー保護と情報セキュリティの観点から最も重要な作業です。
- 表記ゆれの統一: 「ログイン」「log in」「Log In」や、「支払い」「お支払い」といった同じ意味を持つ言葉の表記を統一します。
- 重複データの削除: 同じ顧客からの同一内容の問い合わせなどを整理し、重複を除外します。
- 情報の構造化: 「いつ」「誰が」「どのような状況で」「何に困っているのか」という問い合わせ内容と、それに対する「正しい回答」を明確なペアとして整理します。CSVファイルなどで「質問列」と「回答列」に分けるのが一般的です。
このステップは地道な作業ですが、質の高いFAQを生成するための土台となるため、時間をかけて丁寧に行うことが重要です。
ステップ2 導入するAIツールを選定する
データの準備ができたら、次にFAQを自動生成するためのAIツールを選定します。主な選択肢として「生成AI(ChatGPTなど)のAPIを利用する方法」と「AI搭載FAQシステムを導入する方法」の2つが挙げられます。それぞれの特徴を理解し、自社の目的、予算、技術力に合ったツールを選びましょう。
| 比較項目 | 生成AI(ChatGPTなど)のAPI利用 | AI搭載FAQシステム |
|---|---|---|
| 導入の容易さ | 専門知識が必要(API連携の開発) | 比較的容易(GUI操作が中心) |
| コスト | 比較的安価(API利用料)だが開発費は別途 | 初期費用+月額費用が発生 |
| カスタマイズ性 | 非常に高い(自由な設計が可能) | ツールの提供範囲内でのカスタマイズ |
| FAQ特化機能 | 自前で開発が必要(分析、レポートなど) | 豊富に搭載(解決率分析、検索キーワード分析など) |
| サポート体制 | なし(自己解決が基本) | 充実(導入支援、運用コンサルティングなど) |
技術的なリソースが社内にあり、コストを抑えつつ柔軟な開発を行いたい場合は生成AIのAPI利用が適しています。一方で、専門知識がなくても迅速に導入し、FAQ運用に必要な分析機能や手厚いサポートを受けたい場合は、AI搭載FAQシステムの導入がおすすめです。
ステップ3 AIにデータを学習させ回答集を自動生成する
ツールを選定したら、いよいよAIにステップ1で準備したデータを学習させ、FAQの原案を生成させます。
AI搭載FAQシステムを利用する場合、管理画面から整理済みのCSVファイルをアップロードしたり、既存のヘルプデスクツールと連携させたりするだけで、AIが自動的に問い合わせ内容を解析し、FAQの候補をリストアップしてくれます。多くの場合、ボタン一つで類似の質問がグルーpingされ、代表的な質問文と回答文の案が生成されるため、専門的な知識は不要です。
一方、ChatGPTのような生成AIのAPIを利用する場合は、「プロンプト」と呼ばれる指示文を工夫する必要があります。例えば、次のようなプロンプトを作成します。
あなたは弊社のカスタマーサポート担当者です。以下の問い合わせログを分析し、よくある質問とその回答のペアを10個作成してください。
#制約条件
- 質問文は、顧客が実際に検索するような自然で分かりやすい言葉で作成してください。
- 回答文は、専門用語を避け、初心者でも理解できるように簡潔に記述してください。
- 1つの回答は200文字以内でまとめてください。
#問い合わせログ
[ここにステップ1で整理したデータを貼り付け]
このように、AIの役割、目的、制約条件を明確に指示することで、より意図に沿った質の高いFAQ原案を生成させることができます。
ステップ4 生成された回答案を人の目でレビュー・修正する
AIが生成した回答集は、あくまで「原案」です。これをそのまま公開するのではなく、必ず人の目で内容を精査し、修正を加える工程が不可欠です。AIは時に事実と異なる情報(ハルシネーション)を生成したり、微妙なニュアンスを汲み取れなかったりすることがあるためです。
レビューを行う際は、以下の観点を重点的にチェックしましょう。
- 情報の正確性: 回答の内容は事実として正しいか。古い情報や誤った情報が含まれていないか。
- 網羅性: 顧客がその質問をした際に、知りたいであろう情報が過不足なく含まれているか。関連情報へのリンクなども必要に応じて追記する。
- 分かりやすさ: 専門用語が使われすぎていないか。文章の構成は論理的か。一読してスムーズに理解できるか。
- ブランドイメージとの整合性: 企業の公式な回答として、言葉遣いやトーン&マナー(丁寧さ、親しみやすさなど)が適切か。
- 最新情報への更新: 仕様変更や料金改定など、最新の状況が反映されているか。
このレビュー作業は、実際の顧客対応経験が豊富なカスタマーサポート担当者や、製品・サービスの仕様を熟知している部門の担当者が行うのが理想的です。人の手による最終的な品質担保が、顧客の信頼を得る上で極めて重要になります。
ステップ5 FAQサイトとして公開し分析と改善を繰り返す
レビューと修正が完了したFAQは、いよいよFAQサイトとして顧客に公開します。しかし、公開はゴールではなく、新たなスタートです。本当に役立つFAQサイトを維持するためには、公開後の効果測定と継続的な改善、いわゆるPDCAサイクルを回し続けることが欠かせません。
分析(Check)
多くのAI搭載FAQシステムには、以下のような分析機能が備わっています。これらのデータを定期的に確認しましょう。
- 閲覧数(PV): どのFAQがよく見られているかを把握します。
- 解決率: FAQページの下部に「この記事は役に立ちましたか?(はい/いいえ)」といったフィードバック機能を設置し、顧客が自己解決できた割合を計測します。
- 検索キーワード分析: FAQサイト内で顧客がどのような単語で検索しているかを確認します。
- ゼロマッチ検索: 検索されたにもかかわらず、該当するFAQが一件もなかったキーワードを特定します。これは、顧客が求めているのにまだ用意されていないFAQのヒントになります。
改善(Action)
分析結果をもとに、次のような改善アクションを実行します。
- 解決率の低いFAQの改善: 内容が分かりにくい、情報が不足しているなどの原因を特定し、文章の書き換え、図や画像の追加、動画の埋め込みなどを行います。
- 新規FAQの作成: 「ゼロマッチ検索」で頻出するキーワードや、サポートに直接寄せられる新たな問い合わせ内容をもとに、新しいFAQコンテンツを追加します。
- 導線の見直し: 閲覧数が多い重要なFAQをトップページに配置したり、関連性の高いFAQ同士をリンクで繋いだりして、顧客が必要な情報にたどり着きやすいようにサイト構造を改善します。
この「公開→分析→改善」のサイクルを継続的に回すことで、FAQは常に最新かつ最適な状態に保たれ、顧客満足度の向上と問い合わせ対応の工数削減という二つの大きな成果に繋がっていきます。
回答集の自動生成におすすめのAI搭載FAQシステム5選

ここからは、AIを活用して顧客問い合わせの回答集を自動生成し、効果的なFAQサイトを構築するためにおすすめのシステムを5つ厳選してご紹介します。各ツールの特徴を理解し、自社の目的や規模に合った最適なシステムを選びましょう。
選び方のポイント3つ
AI搭載FAQシステムを選ぶ際には、単に機能の多さだけでなく、自社の課題を解決できるかどうかを見極めることが重要です。ここでは、比較検討する上で特に重視すべき3つのポイントを解説します。
AIの精度と学習機能
AI搭載FAQシステムの核となるのが、AIの精度です。自然言語処理能力が高く、顧客が入力する曖昧な表現や表記ゆれ、類義語を正確に理解し、最適な回答を提示できるかを確認しましょう。また、継続的に問い合わせデータを学習し、時間とともに賢くなる機能があるかも重要な選定基準です。デモやトライアルを活用し、実際の問い合わせデータで精度を試してみることをおすすめします。
既存システムとの連携性
FAQシステムは単体で完結するものではなく、他のツールと連携させることで効果を最大化できます。例えば、CRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)と連携すれば、顧客情報に基づいたパーソナライズされたサポートが可能になります。また、SlackやMicrosoft Teamsなどのビジネスチャットツールと連携できれば、社内での問い合わせ対応も効率化できます。API連携の柔軟性や、現在利用しているシステムとの連携実績があるかを確認しましょう。
サポート体制と料金プラン
ツールの導入から運用定着までには、専門的な知識が必要になる場面も少なくありません。導入時の設定支援や、効果的なFAQコンテンツの作成コンサルティング、運用開始後の分析・改善サポートなど、提供されるサポート体制の手厚さを確認しましょう。料金プランも、ユーザー数課金、PV数課金、機能ごとのオプションなど様々です。自社の利用規模や将来的な拡張性を考慮し、コストパフォーマンスに優れたプランを選ぶことが大切です。初期費用と月額費用の両方を把握し、総合的な費用で比較検討しましょう。
【比較表】主要FAQシステム一覧
| ツール名 | AI機能の特徴 | 連携性 | 料金体系 | 無料トライアル |
|---|---|---|---|---|
| Zendesk | 問い合わせ内容を解析し、関連性の高いFAQ記事を自動で提案する「Answer Bot」機能。 | Salesforce、Slackなど2,000以上のアプリと連携可能。APIも豊富。 | 要問い合わせ(機能に応じた複数のプラン) | あり |
| Helpfeel | 独自の「意図予測検索」技術により、曖昧な言葉でも質問を予測して回答候補を表示。検索ヒット率98%。 | API連携により各種システムと連携可能。Salesforce、Zendesk等との連携実績あり。 | 要問い合わせ(PV数に応じた従量課金) | 要問い合わせ |
| Tayori | AIによるFAQの回答候補自動生成機能(β版)を提供。シンプルな操作性が特徴。 | Google Analyticsとの連携が可能。APIは提供なし。 | 月額0円~(機能に応じた段階的なプラン) | あり(フリープラン) |
| PKSHA FAQ | 国内最高峰の自然言語処理技術を活用。質問の自動分類やサジェスト機能の精度が高い。 | CRM、チャットボットなどPKSHAグループ製品とのシームレスな連携が強み。 | 要問い合わせ(ライセンス費用+オプション) | 要問い合わせ |
| KARAKURI | 正答率95%保証のAIチャットボットが強み。FAQと連携し、問い合わせの一次対応を自動化。 | Salesforce、LINE、各種ECカートシステムなど多様な外部ツールと連携可能。 | 要問い合わせ(初期費用+月額費用) | 要問い合わせ |
Zendesk
Zendeskは、世界16万社以上で導入されているカスタマーサービスプラットフォームのグローバルリーダーです。FAQシステムだけでなく、問い合わせ管理、チャット、通話など、顧客対応に必要な機能が統合されており、一元的なサポート体制を構築できます。AI機能である「Answer Bot」は、問い合わせメールやチャットの内容を解析し、関連するFAQ記事を自動で返信・提案することで、オペレーターの負担を大幅に軽減します。豊富な連携アプリや柔軟なカスタマイズ性が魅力で、事業規模の拡大に合わせて機能を拡張したい大企業やグローバル企業に最適です。日本語のサポートも充実しており、安心して導入できます。
Helpfeel
Helpfeelは、「検索ヒット率98%」を謳う革新的なFAQシステムです。独自のAI技術「意図予測検索」により、ユーザーが入力した曖昧なキーワードや話し言葉、スペルミスからでも質問の意図を予測し、最適な回答候補を瞬時に表示します。これにより、顧客は探している情報にすぐにたどり着くことができ、自己解決率が飛躍的に向上します。導入時には専任のテクニカルライターが既存のFAQやマニュアルを分析し、Helpfeelに最適化されたFAQ記事を作成してくれる手厚いサポートも特徴です。問い合わせ件数そのものを削減し、顧客満足度を根本から改善したい企業におすすめです。
Tayori
Tayoriは、株式会社PR TIMESが運営するカスタマーサポートツールです。専門知識がなくても直感的な操作でFAQ、お問い合わせフォーム、チャットを簡単に作成できる手軽さが魅力です。特に、スタートアップや中小企業にとって導入のハードルが低い料金設定となっており、無料プランから始めることも可能です。近年、AIによるFAQの回答候補を自動で生成する機能(β版)も追加され、FAQ作成の効率化を支援しています。まずはコストを抑えてFAQサイトを立ち上げ、顧客対応の基盤を整えたいと考えている企業に最適なツールです。
PKSHA FAQ
PKSHA FAQは、AI技術の研究開発を行うPKSHA Technologyグループが提供するFAQシステムで、国内シェアNo.1の実績を誇ります。日本の言語特性を深く理解した高度な自然言語処理(NLP)技術が強みで、日本語特有の表現ゆれにも高い精度で対応します。AIがユーザーの質問を自動で分類したり、管理者がFAQを作成する際に最適なカテゴリを推薦したりと、運用側の効率化機能も充実しています。金融機関や自治体など、セキュリティ要件が厳しく、大規模な運用が求められるエンタープライズ企業から絶大な信頼を得ています。
KARAKURI
KARAKURIは、「正答率95%保証」を掲げるAIチャットボットで高い評価を得ているサービスですが、FAQシステムも提供しています。KARAKURIの最大の特徴は、FAQとAIチャットボットがシームレスに連携し、問い合わせ対応の自動化を強力に推進できる点です。AIが24時間365日、顧客からの問い合わせに一次対応し、解決できない場合はFAQページへ誘導したり、有人対応へスムーズに引き継いだりすることが可能です。これにより、問い合わせの削減と顧客満足度の向上を両立させます。ECサイトやサブスクリプションサービスなど、定型的な問い合わせが多い業界に特に適しています。
効果的なFAQ化で顧客満足度を最大化するコツ
AIによって回答集を自動生成し、FAQサイトを構築しても、それが顧客にとって「使いにくい」「分かりにくい」ものであれば意味がありません。むしろ、問題が解決できないことで顧客満足度の低下を招く恐れさえあります。ここでは、自動生成した回答集を「本当に役立つFAQ」へと昇華させ、顧客満足度を最大化するための具体的なコツを5つご紹介します。
顧客が使う言葉で質問文を作成する
FAQで最も重要なのは、顧客が抱える疑問や問題を迅速に解決することです。そのためには、顧客が検索窓に打ち込むであろう「自然な言葉」で質問文を作成する必要があります。社内用語や専門用語で作成された質問文は、顧客の検索にヒットせず、せっかくの回答が見てもらえません。これはSEO(検索エンジン最適化)の観点からも極めて重要です。
過去の問い合わせログを分析する
顧客が実際にどのような言葉で問い合わせてきているかを知るための最も貴重な情報源は、電話、メール、チャットなどの問い合わせログです。ログの中から頻出するキーワードや言い回しを抽出し、そのまま質問文に活用しましょう。「ログインできない」「パスワードを忘れた」「請求書はどこで見られますか?」といった、顧客の生の声を反映させることが鍵となります。
表記ゆれを吸収する
ユーザーは必ずしも正しい用語で検索するとは限りません。例えば、「ログイン」と「サインイン」、「キャンセル」と「解約」、「アカウント」と「ID」など、同じ意味でも異なる言葉が使われることがあります。これらの表記ゆれを想定し、複数のキーワードで同じ回答にたどり着けるように設定しておくことが、検索ヒット率を高める上で不可欠です。
- ログイン / サインイン / ログオン
- 退会 / 解約 / アカウント削除
- 請求書 / 明細書 / 利用料金
- 支払い方法 / 決済方法
回答は簡潔に分かりやすく図や画像を活用する
顧客は長々とした説明文を読むことを好みません。問題解決のためにFAQサイトを訪れているため、一目で理解できる簡潔さと分かりやすさが求められます。テキストだけでなく、視覚的な情報を効果的に使うことで、顧客の理解度を飛躍的に向上させることができます。
PREP法で構成を組み立てる
分かりやすい文章構成のフレームワークとして「PREP法」が有効です。PREP法は、Point(結論)、Reason(理由)、Example(具体例)、Point(結論の再確認)の順で説明する手法です。まず最初に結論を提示することで、ユーザーは「この記事に自分の求めている答えがあるか」を瞬時に判断でき、ストレスなく読み進めることができます。
- Point(結論): まず、質問に対する答えを簡潔に述べます。(例:「〇〇の設定画面から変更可能です。」)
- Reason(理由): なぜそうなるのか、その結論に至る背景や理由を説明します。
- Example(具体例): 実際の操作手順や画面のスクリーンショット、図解を用いて具体的に説明します。
- Point(結論の再確認): 最後にもう一度結論を述べ、内容をまとめます。(例:「以上の手順で設定変更が完了します。」)
視覚情報を積極的に活用する
特にソフトウェアの操作方法や製品の組み立て方など、手順を説明する際にはテキストだけでは限界があります。スクリーンショットや図解、イラスト、場合によっては短い動画を埋め込むことで、ユーザーは直感的に内容を理解できるようになります。視覚情報を使うことのメリットは以下の通りです。
| 項目 | テキストのみの回答 | 図や画像を活用した回答 |
|---|---|---|
| 理解のしやすさ | 読むのに時間がかかり、誤解を生む可能性がある | 直感的に理解でき、短時間で内容を把握できる |
| 問題解決率 | 低い傾向にある | 高い傾向にある |
| 顧客満足度 | 低下しやすい | 向上しやすい |
| 問い合わせ削減効果 | 限定的 | 高い |
検索性を高め顧客を迷わせないサイト構造
どれだけ質の高いFAQコンテンツを作成しても、顧客がその情報にたどり着けなければ存在しないのと同じです。顧客が「自分の知りたいことは、おそらくここにあるだろう」と直感的に操作できるような、高い検索性(ファインダビリティ)を持つサイト構造を設計することが重要です。
直感的なカテゴリ設計
FAQを論理的で分かりやすいカテゴリに分類しましょう。カテゴリ名は、顧客が理解できる一般的な言葉を使用します。「製品Aについて」「料金・ご契約について」「トラブルシューティング」のように、ユーザーが自分の状況に合ったカテゴリを簡単に見つけられるように設計します。カテゴリの階層は深くしすぎず、2〜3クリックで目的の情報にたどり着けるのが理想です。
サイト内検索エンジンの最適化
多くのユーザーは、まず検索窓にキーワードを入力して情報を探します。そのため、サイト内検索エンジンの性能はFAQサイトの使い勝手を大きく左右します。高性能なFAQシステムでは、以下のような機能が搭載されています。
- サジェスト機能: キーワード入力中に、関連する質問候補を表示する機能。
- 表記ゆれ吸収機能: 「ログイン」「サインイン」などの表記の違いを吸収して検索結果を表示する機能。
- 絞り込み機能: カテゴリやタグで検索結果を絞り込める機能。
FAQが見つからない場合の導線を設計する
残念ながら、FAQサイトだけで全ての顧客の問題を100%解決することは不可能です。重要なのは、FAQで解決できなかった顧客を放置せず、次の解決策へとスムーズに誘導する導線を設計することです。これにより、顧客は「見捨てられた」と感じることなく、企業への信頼感を維持することができます。
「問題は解決しましたか?」フィードバック機能の設置
各FAQ記事の末尾に「この記事で問題は解決しましたか?(はい/いいえ)」といった簡単なアンケートを設置しましょう。これは、コンテンツの品質を測定する貴重なデータになるだけでなく、顧客への次のアクションを提示する分岐点にもなります。「いいえ」と回答したユーザーに対しては、「有人チャットで質問する」「問い合わせフォームへ進む」といった選択肢を表示し、問題解決まで寄り添う姿勢を示すことが顧客満足度向上に繋がります。
ゼロ件ヒット対策
顧客が検索窓に入力したキーワードで一件もFAQがヒットしない「ゼロ件ヒット」は、顧客体験を著しく損なう要因です。単に「該当する記事はありませんでした」と表示するのではなく、以下のような対策を講じましょう。
- キーワードのヒントを表示する(例:「キーワードに誤字脱字はありませんか?」「より簡単な言葉でお試しください」)
- 関連性の高いカテゴリへのリンクを表示する
- 問い合わせフォームやチャットサポートへの導線を明確に提示する
ゼロ件ヒットとなった検索キーワードは、新たなFAQコンテンツを作成するための重要なヒントとなります。定期的にログを分析し、コンテンツ拡充に役立てましょう。
定期的な分析と改善でFAQを常に最新の状態に保つ
FAQサイトは一度公開したら終わりではありません。むしろ、公開してからがスタートです。顧客の利用状況を分析し、継続的にコンテンツを改善していく「育てる」視点が不可欠です。市場や製品、顧客のニーズは常に変化するため、FAQもそれに合わせてアップデートし続ける必要があります。
分析すべき重要指標
FAQサイトのパフォーマンスを評価するために、以下のような指標を定期的にチェックしましょう。これらのデータは、どのFAQがよく見られていて、どのFAQが問題を解決できていないのかを客観的に示してくれます。
- PV(ページビュー)数: どのFAQが多く閲覧されているか。
- 解決率: 「問題は解決しましたか?」のアンケートで「はい」と回答された割合。
- 未解決率: 「いいえ」と回答された割合。未解決率が高い記事は、内容の見直しが急務です。
- サイト内検索キーワード: 顧客がどのような言葉で検索しているか。新たなFAQ作成のヒントになります。
- ゼロ件ヒットキーワード: 検索しても回答が見つからなかったキーワード。コンテンツが不足している領域を示します。
PDCAサイクルによる継続的な改善
分析データに基づき、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを回してFAQの品質を継続的に向上させます。
- Plan(計画): PVは高いが解決率が低い記事の改善案や、ゼロ件ヒットキーワードを元にした新規記事の作成を計画します。
- Do(実行): 計画に沿って、記事のリライトや新規作成、図解の追加などを行います。
- Check(評価): 改善後に再びデータを収集し、解決率などの指標が改善されたかを確認します。
- Act(改善): 評価結果を元に、さらなる改善策を検討し、次のサイクルに繋げます。
この地道な改善の繰り返しが、FAQサイトを陳腐化させず、常に顧客にとって価値のある情報源として機能させ続けるための唯一の方法です。
まとめ
本記事では、増え続ける顧客問い合わせへの対応工数を削減し、顧客満足度を向上させるための「顧客問い合わせ回答集の自動生成とFAQ化」について、具体的な方法と手順を解説しました。問い合わせ対応のコスト増大や属人化は、多くの企業が抱える課題です。これらの課題を解決し、DXを推進する上で、効果的なFAQの構築は不可欠と言えます。
回答集の生成方法には、Excelなどを活用した簡易的なものから、専用ツール、そしてAIを活用した高度なものまで様々です。特にAI、中でも生成AIやAI搭載FAQシステムを活用する方法は、過去の問い合わせログから自動でFAQを生成できるため、最も効率的で質の高い回答集を作成する有力な選択肢となります。
AIを活用したFAQ化は、「データ収集」「ツール選定」「学習・生成」「レビュー」「公開・改善」という5つのステップで進めます。重要なのは、AIが生成した回答案を必ず人の目で確認し、顧客にとって本当に分かりやすい内容に仕上げることです。ZendeskやHelpfeelといった優れたツールも多数存在するため、自社の目的や既存システムとの連携性を考慮して最適なものを選びましょう。
FAQは一度作って終わりではありません。顧客が使う言葉を分析し、常に最新の情報に更新し、見つからない場合の導線を確保するなど、継続的な改善が成功の鍵です。本記事で紹介した方法を参考に、効果的なFAQシステムを構築し、顧客満足度の最大化とビジネスの成長を実現してください。
